入学説明会~ようこそ、ボカ学へ!~


1 黙字/あふたりふく
時間を知る文を今日も

食べて聞いて読んで書いて

時間を削ぐ正義感に咀嚼される

生活を知る文の意思を

食べて聞いて読んで吐いて

生活上を縛る枷と浅い呼吸

 

秘密とか言いたくて

興味なら言葉の通りに

 

どんな事象でも世界線も原稿用紙に

書いて残るなら 呼ばれるなら

この名前も悪くはないかも

 

「七十字以内で抜き出しなさい。」

それだけで省かれていく血の流れる文脈も

 

どんな苦悩でも処世術も原稿用紙に

書いて残すから 学んだから

この詩があった意味をください。


2 しゃかいムリです/Shu

あきらめた 時間が経つのはチクタクチクタク早すぎて

待ち合わせの5分前でも本日の服と格闘中

 

お手紙が来た またも忘れた?

分かってるんだけど ダメ ダメ

アタシの記憶 またしも濁る 狂ってしまいました

 

ただゆらりゆらり気が逸れ

もういいよ 

レールに乗って生きるのは正直ムリでしょ?

 

アタシ曖昧なんです 分からないです

人間様からご卒業

もはや犯罪なんです お縄なんです

半人前のまま

 

ねえ先生 挙手です 質問です

問題 バッテン バッテン 解けないの

本当なんです 嘘じゃないです

万年社会の不適合

 

とんがったそのまんまコンサータこんばんは

渦巻く思考はモーターカーで超波乱 run 嵐

ダイジョブでもjobはないわ 和 輪の中

敗北でも研がないnail

 

ぼうっと時間が過ぎて いつか大人になれると思ってた

だけど世界はとても早くて いつも待ってはくれないの

 

ただじわりじわり火の中

もういいよ 

最後に困り果てるのはどうせ自分でしょ?

 

アタシ ナイナイナイです 何もないです

人生ハナからご臨終

じきにバイバイなんです それでいいです

無気力なまま

 

アタシ曖昧なんです 分からないです

「接近注意」を受信中

更に難解なんです 意味もないです

霊能者なもんで(笑)

 

ねえ先生 挙手です 質問です

問題 バッテン バッテン 解けないの

本当なんです それもアリです

 

万年社会の不適合者だよ馬鹿野郎


3 カラーレス・ユース/rukaku

透明な教室で 祈る様に

溶け合って 傷付いて 慰め合っていく

曖昧に垂れ流す 青い熱に

戸惑いつつ 触れ合いつつ

大人になっていく

 

「他人には興味が無いの。」

本心は水の中

言えないよ ずぶ濡れでも

僕は期待した

 

頭の中に渦巻く銀河を曝す様な

ワレモノで透明な恋をした

 

透明な教室で 祈る様に

溶け合って 傷付いて 慰め合っていく

曖昧に垂れ流す 青い熱に

戸惑いつつ 触れ合いつつ

大人になっていく

 

泡の様な 嬌声から 

逃げたくて 逃げたくなくて

白菊の花園へと

導かれていく

 

はぐれかかっていた 小鳥は居場所を見つけた

集団的性の 声を聞く

 

空の境界を埋める様に

乾涸びきった渇きを癒す様に

 

透明な教室で 祈る様に

溶け合って 傷付いて 慰め合っていく

曖昧に垂れ流す 青い熱に

戸惑いつつ 触れ合いつつ

大人になっていく


5 トリカゴのレジン・ビースト/sabi

透明が吹き荒ぶ鳥籠の中

私の好きが擦り切れぬよう耳を塞いだ

完璧を嘯くそんな世界に独り

私だけの真実を唯書きなぐっていた

俯きながら刻んだ机の傷

片耳にねじ込んだイヤーピース

三足の猫が笑う皐月の昼

何もかもが嘘くさくて

薄っぺらい世界だ

もがれた自我の幻肢痛

焦がれた想いの炎症と

無味乾燥とした思想の連鎖

無知蒙昧な異常の証左

聡明を主張する高架下の葦

異形の群れに飲み込まれぬよう目蓋を閉じた

嘘つきな光の群れを唯羨んで

「殺してしまえ」と獣達胸の中で吠えた

愚直に読み進めたインクの染み

時の流れに私は置き去られ

真白なカラスが鳴いた葉月の暮

私の好きを貫くそれだけがモラルだった

研がれた刃の先鋭化

壊れた世界のエンティティ

無味乾燥とした思考の検閲

無知蒙昧な私のモラル

虚無をついに自覚するジャックの心臓

愚昧な私を笑うマジョリティの渦

透明に飲まれた君を見つめる獣

虚ろなそれが心の中一人孤独に吠えた

空白に埋められた頁の群れ

君と燃やして昨日の庭に埋めた

生きよ落ちよと叫びたかった霜月の未明

君が透明になる前に

どうか私を消してよ


6 器と滲むレプリカ。/藤墅。

いまとなってはこの狂った世界に

疑問もないくらい溶け込んでしまった

中身無い器の人形 小さい手はまだ冷たい

それでもそばにいて 僕のレプリカ

 

夢を追った先に何が見えるの?

からかわないでくれ君は嫌いだ

だって

僕を置いていったから

 

交わったでも溶けきったから

躊躇った キミはもう救えない

冷めきった目に滲み込んだ赤

搔き消した キミを今塗りつぶす